90年代ファッションってどんなの? 特徴をイラストで解説!
最近、90年代のファッションがリバイバルして流行中です。女子高生、裏原、フレンチカジュアル、ヒップホップ、グランジロック……。90年代のファッションとはどういったものだったのか。どういう時代背景があったのかを、イラスト付きで解説していきます。
最近、90年代のファッションがリバイバルして流行中です。
中にはリバイバルとは知らずに着ているファッションもあるのではないでしょうか?
そこで、90年代のファッションとはどういったものだったのか。どういう時代背景があったのかを、解説していきます。
90年代のレディースファッションの特徴とは?
90年代はとにかくストリートの時代。ポケベルや携帯電話が登場して、趣味の合う友だちとつながって、好きなことを話して、イイ感じの音楽を聴いて……。
そんな中で、カルチャーが脈々と枝分かれて、さらにすべてがミックスされていった過渡期なのです。
若者のパワーがぐっと強くなって、まさに「街角」からファッションが生まれてくる感覚があった時代。
「渋カジ系」「ヒップホップ」「フレンチ・カジュアル」「グランジ・ファッション」「バンギャル」「コギャル」「サイバー」「バンギャ」……数えきれないほど枝分かれした’90sスタイルの中から、今の時代感と特にマッチする5つのファッションを紹介していきます。
キーワード1.「裏原」
特徴
裏原宿エリア発の「裏原系」は、基本的にはミクスチャースタイル。モードブランドとストリートブランドや古着を合わせるなど、自分なりのコーディネイトで着こなしました。それを大きく分けるとしたら、スポーツ系譜とパンク系譜の二軸。
前者はスケートカルチャー由来のカジュアルなウェアがメインで、グラフィカルなロゴTやビッグサイズのパーカ、ジーンズやカーゴパンツ、キャップにスニーカーが定番アイテム。
イラストのような後者ではデザイナーズブランドが好まれ、ライダースジャケットや、ボンテージパンツ、ラバーソールシューズなどが愛用されました。
流行背景
2000年代にパリコレデビューすることになる日本人デザイナー高橋盾氏がNIGO氏とともに、原宿の路地にショップをオープンしたのが1993年。
その周りには、彼らの友人たちのショップが続々オープンし、デザイナーやアーティスト、DJやスケーターとして活躍する若者が集まる場所でした。仲間同士の口コミでタレントやモデルを巻き込みながら、裏原系のファッションが広まっていきます。
代表的アイテム
当時、盗難も多発するほど大流行した「ヴィヴィアン・ウエストウッド」のロッキンホース。
パンクを感じるデザイナーズブランドは女子の間でも人気が沸騰しました。
代表的ブランド
メンズブランドの「APE」「ナンバーナイン」のトレンドをうけ、レディースでは
・XLARGE
・SILAS
・BAPY
・X-girl
といったボーイズ・カジュアル系のブランドが人気。
・アンダーカバー
・ヴィヴィアン・ウエストウッド
などデザイナーブランドも支持されました。
キーワード2.「女子高生」
特徴
制服ではミニスカートにルーズソックスがお決まりのスタイルに。
私服では、アメリカ西海岸の学生のようなL.Aスタイルが大流行。茶髪のロングヘアに焼いた肌、フープピアス、フィットしたカットソー、ミニのタイトスカートやフレアのパンツ、と開放的なスタイルが「コギャル」あるいは「ギャル」と呼ばれました。
流行背景
90年代の「コギャル」ブームの立役者は、2018年の引退ライブで注目を集めた安室奈美恵氏。「アムラー」と呼ばれる社会現象に発展したほど、ギャルのファッションリーダーとして絶大な支持を集めました。
彼女に共感した女子高生たちを中心に、その容姿やファッションをまねしたへソ出しルックやミニスカートが流行。
同じころ、メンズではサーフブランドが注目を集めていたのもポイント。その影響で「サーフギャル」なるファッションも盛り上がり、ギャルファッションに広がりを見せました。
代表的アイテム
ニーハイ厚底ブーツ。2018AW頃から、最注目。
今、リバイバルで取り入れるなら、ミニスカよりは、あえてスリットの深い膝下丈のタイトスカートなんかと合わせたい。
代表的ブランド
・エゴイスト
・ココルル
・ミージェーン
渋谷の109に集まっていたのが代表ブランドです。
キーワード3.「ヒップホップ」
特徴
オーバーサイズの服や、パンツの腰ばき、キャップなどが特徴のヒップホップファッション。
90年代のヒップホップファッションは、西海岸(L.A)風のネオンカラーやゴールドアクセサリーをメインにした華やかなスタイルと、東海岸(N.Y)風のネイビーやブラックのシックな色味でレイヤードするスタイルと、大きく2つのルーツに分かれます。
流行背景
80年代のギャングスターやグラフィティカルチャーの影響を受け継ぎ、90年代の間だけでもさまざまに変化を遂げるのがヒップホップ。
たとえば、その音楽シーンのファッションアイコン「ビースティー・ボーイズ」のジャケット写真からファッションの多様な変遷をチェックしてもおもしろいですね。
代表的アイテム
HIP HOPの名盤のジャケット写真でも着用されて人気のザ・ノース・フェイス。
こうした防寒アウターの人気は東海岸(N.Y)のヒップホップカルチャーにルーツがあります。ステータスの象徴である高価なウェアを、揶揄するように取り入れてしまうのもヒップホップファッションの醍醐味。
代表的ブランド
・ザ・ノース・フェイス
・A C G(オール・コンディション・ギア)
・ポロ スポーツ
・コロンビア
・ノーティカ
・DKNY
・ピエール・カルダン
・ヘリーハンセン
ブランド志向のカルチャーシーンで、高価なスポーツメーカーやコレクションブランドも好まれました。
キーワード4.「グランジ・ロック」
特徴
バンド「ニルヴァーナ」に影響を受けたファッション。1990年代前半に「グランジ・ロック」というジャンルを生み出したとされています。
シャツをわざと裏返したり、色が落ちたヨレヨレの上着を羽織ったり、ほつれた裾のデニムといった、ルーズさが特徴です。
流行背景
代々木公園で開催されるフリーマーケットの定着や「ヤフーオークション」などオークションサイトの一般化によって、古着に対する抵抗感が少なくなった90年代。
新品よりはるかに安く、人とは被らない唯一無二のアイテムが見つかる楽しみから、若者の古着熱が高まった時代でもあります。
代表的アイテム
チェックシャツ。
カート・コバーンのようにラフに羽織るのが、2018SS頃からメンズではリバイバルして流行。コレクション会場のスナップで男性モデルたちも取り入れていたスタイリングです。
レディースではちょっとビッグなチェックシャツを背抜きで着るのがオススメ。
代表的ブランド
・シカゴ
・サンタモニカ
・ラグタグ
・WEGO
といった古着ショップ。
グランジ・ロックはダメージがポイント! なので、古着屋でちょうどいいアイテムを探す人も多かったそう。
キーワード5.「フレンチカジュアル」
特徴
きれいめカジュアルをベースにフランスブランドを取り交ぜたスタイル。
モノトーンや、赤・白・青を効かせたフレンチシックな色使いが特徴です。
ボーダーTシャツや、ショートソックスなどが流行しました。
流行背景
80年代に流行したトラッドの復活により、紺ブレやポロシャツにチノパンなどをメインにした「リバイバル・カジュアル」が一大ムーブメントを起こしました。
その流れを汲んで、フレンチな雰囲気を重視した「フレ・カジ」にも注目が集まります。
高感度なファッション好きから女子大生やOLまで、幅広く支持されました。
代表的アイテム
アニエス・ベーのスナップカーディガン。
1984年に日本に上陸し、90年代にかけてフレンチカジュアルブームを作った「アニエスベー」。
スナップカーディガンはフレ・カジ女子に大流行しました。
代表的ブランド
・アニエス・ベー
・A.P.C.
・シピー
が特に人気でした。
90年代ファッションがリバイバルブーム……今、取り入れるには?
90年代ファッションを楽しみたいなら、まずは一点だけ投入してみるのが一番簡単。
たとえば、いつものカーディガンをアニエス・ベーのスナップボタンにしてみたり、アウターはトレンチコートでなくカラフルなマウンテンパーカにしてみたり。
それくらいでもいつものスタイルが新鮮になりますね。
もっと90年代ファッションを堪能するなら、’90s のパロディをしてみてもおもしろいですよ。
グランジ・ファシッションなら、そのアイコンであるカート・コバーンの全身をまねしてみましょう。ただしその場合は、今季のものを(もちろんレディースのショップで)買い足すのがオススメ。
’90sのコスプレではなく、あくまで現代的にアップデートして楽しんでみましょう。
90年代ファッションはダサいようで……今、カッコイイ!
ここ数年のファッションって実は「ダサいほどかっこいい」に邁進中。そんな雰囲気、感じませんか?
オシャレにキマっているのはいいようで、ともすれば、がんばりすぎている人になりかねません。それよりは自然体の方が好まれているんです。
その証拠に「やや野暮ったい」ことを表す「いなたい」という言葉が、今やポジティブな形容詞として流行中。ちょっと抜けてるくらいや、ハズしが効いているほうが今の気分です。
だったら一見ダサい!? 90sアイテムを取り入れない手はない!
今回紹介した5つのキーワードのルーツを知っているだけで、組み合わせの幅も広がるはずです。
ぜひ、今、90年代ファッションにトライしてみてください。
(文:Takako Nagai、イラスト:ヤベミユキ)
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※この記事は2019年02月20日に公開されたものです